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酒清中毒
金子 寿子
1
1名古屋大学医学社会事業部
pp.137-139
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909809
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回顧
忘れも致しません。此の頃のように,寒さの身にしみる,3年前の師走の事でした。(あれから,最早や3年の歳月が流れたというのです)。虫の知らせと云うものでしようか,私は,思い立つたように,退院後5ヵ月になる30歳に満たない若者の其の後の様子を知るべく,彼の職場を訪問致してみました。眼の先に港を控えて,此の辺りは,薄汚れた大工場が,鼠の逃込む隙間も無い程に,ぎつしり詰つて居ります。長いコンクリート塀は,灰一色で,口をつむんだ死人のように不気味でした。
彼はアルコール中毒者でした。扨,彼の職場に行つてみますと,全く予期しなかつた,悪い結果が持ち設けていました。
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