追悼
加藤清先生を偲んで
山中 康裕
1,2
1京都ヘルメス研究所
2京都大学
pp.912-914
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102558
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2013年6月27日早朝,加藤清先生の訃報が飛び込んだ。先生は大正10年(1921)のお生まれだから,享年92歳。近しい友人が筆者も誘ってくれて,芦屋のインドネシア料理店での,先生の卒寿(90歳)のお祝いに駆け付けたことがあった。あの時も独特のトーンのお声で,「医者なんかよりも,霊位(加藤先生の造語で,たましいの位,といった意味か?)の高い分裂病(統合失調症)の患者さんが多かったからね~」という話をなさり,「キミ,精神医学こそ,臨床医学の基礎学なんだよ」と熱く語られていたから,ごく自然に帰天されたのだろうと思われる。
この年齢水準の精神科医でお元気なのは,筆者の知る限りでは元東大教授の臺弘先生や芸術療法の徳田良仁先生くらいで,DSM世代の若い精神科医たちには,なじみも薄いと思うので,少し詳しく書くが,先生は知る人ぞ知る,三界に通じる独特の宇宙観・世界観を持った方で,トランスパーソナルは言うに及ばず,スピリチュアリティ,ディープ・エコロジカル・エンカウンター(これも加藤先生の造語)とかの領域で,真のホリスティックなトータリテイー精神医学を追究された第一人者であった。沖縄のノロやカムダーリ(巫病)やバリ島の実地調査,「樹林一体気功」「寂体」などoriginalな考えが沢山ある方で,精神科医のみならず,先生を慕う臨床心理士も多かった。徳田先生の芸術療法学会創立にも関った方であり,日本芸術療法学会賞をお受けになっている。
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