2頁の知識
最近の抗生物質
真下 啓明
1
1東大田坂内科
pp.62-63
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909794
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病原体に直接作用をもつ化学療法剤のうち生物を材料としているものが抗生物質剤であるが,この抗生物質にはペニシリンに初まる数々の臨床上重要な藥剤がふくまれている。最近注目され新しく使用され出している抗生物質も数種に止まらない。以下簡単にこの説明を加えたい。
抗生物質の第1に出現し,抗生物質の価値を重からしめたのはペニシリンであるが,このペニシリンもその後プロカイン・ペニシリンの如き血中有効濃度を長く保つ,作用時間の長いものが広く使用されていた。最近ペニシリン製剤として2つの新しいものが出現した。その1つはバイシリンで,これは血中濃度の維持が驚く程長く,プロカイン・ペニシリンの数倍の時間体の中に保たれる。小児の猩紅熱,肺炎などには好適な藥剤であるが,大人では血中濃度が比較的低いので必ずしもよいとはいえない。他の一つはレオシリンである。この藥は肺組織に親和性のあるペニシリン剤で,したがつて肺膿瘍,肺壊疸,気管支炎,肺炎等には有利で,それは肺組織中に藥剤が高濃度となり,そこで炎症を起している病原体に有効に作用することができるからである。
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