連載 症候学メモ・40
舌咽神経痛と迷走神経痛
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.437
発行日 1988年5月1日
Published Date 1988/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206101
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◆扁桃腺炎などで咽をはらしたとき,物をのみ込むと咽に不快な強い痛みを覚えることがある。炎症部位の局所的な直接の刺激による痛みもあるが,これに舌咽神経痛も加わっている。つまり,舌や口腔のヘルペスやアフタのときの痛みとは違って,物が咽を通るときのこの痛みは,もっと強い,放散性の性質をもっている。刃物が突き通るような,引き裂かれるような,耐えにくいものであり,痛みは咽の奥の方や,下顎と上顎とが口腔の奥の方で作る角(カド)の方向や,更には耳・鼓膜へと向う。
◆このような痛みは,物をのみ込むときはもとより,会話,あくび,せき,くしゃみなどによっても引き起こされるが,稀には自発痛として現われることもある。時にはズキズキと拍動性,律動的な痛みとして感じることもある。
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