発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909641
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扇風機の必要
私共の日常生活に,最も快適な気温は摂氏17.5°湿度65%というのは環境衛生学者のよく唱導するところであるが,我が国の真夏は気温はぐんぐん上つて30℃以上,湿度も90%を越すという高温多湿で仲々凌ぎ難い。もつとも気温が上つても湿度を下げることができると快適条件を保つことができるとして,次のような公式が与えられている。即ち
R=100-4(t-54)=316-4t
Rは求める快適湿度
tは華氏で現した現在の温度
そこで今かりに73°F(Fは華氏)即ち攝氏でいえば25℃のときに,それにふさわしい快適湿度を上の公式に入れて計算して出してみると
R=316-4×73 R=24
即ち24%の湿度ということになるが,これは真夏の多湿の季節には,なかなか人工的に実現できそうもない湿度である。ところが都合のよいことにはこの湿度を下げる代りに空気の動き,即ち気流をつくると実感的にある程度この高温を緩和できる。これもヒル氏(Hill)の提唱というが,私共に気温の極く低い13℃くらいまでは気流を殆ど必要としないが,15℃になると1分間に30メートルの気流,即ちあるかなしかの空気の流れをつくると快よく,又18℃になると更に早く毎分150メートルの気流を必要とし,20℃以上になつたら毎分300メートルくらいの爽やかな気流があると快よいということである。
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