講座
看護婦のための病院管理学(6)
守屋 博
1
1東一管理部
pp.37-40
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909491
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病棟について
病棟が病院の基本である。病院のもつとも古い型は,お寺とか教会に患者を收容していて,医師は単に往診の形で見廻つていたのであるから,別に手術室があるわけでも,検査室があるわけでもなかつた。あらゆる診断も治療も皆病室で行われたのである。近代病院では段々とこれらの特種の処置が中央化して来たので病棟で行う仕事は,基本的の看護にもどりつつある。しかし,気持のよい部屋をつくる事,適当に,窓をあけたてする事照明を考える事,騒音から守る事,ベツトを作り,藥を呑まし,食事を気をつけ患者の状態を觀察して,正確な記録を残し,必要な処置を行う事等は,やはり病棟自信の責任である。従つてどんな研究室があろうとどんなに手術室が立派でも基本になる病棟のサービスが惡くては,その病院の評価は0である。
日本では,多くの小さな病院が医師自身の個人的財産として,発達して来た爲に,多くは外来診察室が中心となり,外来に通う患者の泊り場として二三のお座敷が利用されているという考え方である爲にそのお座敷における看護は,患者の家庭の延長として,家族の責任であり,食事も,患者自身が勝手に自炊するのが普通である。
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