発行日 1953年6月15日
Published Date 1953/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907323
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1.まえがき
消毒とは,目的物に含まれる病原性微生物を殺滅することで,要は人間に(或る場合動物に)對する發病能力を消失せしめれば事は足りる。したがつて病原菌の總てを殺滅し盡さなくてもよいわけである。その量を減じ,その質を變更して,人間に對する發病能力を奪取すればよい。この故に,濾過して病原菌を除くもよし,大量の水にて稀釋するもよし,藥液,日光,時間,高温などで病原菌の發病能力を減弱するもよし,地中に埋沒し,又は海中,下水中に流し去り再び人の生活圏内に現われないようにする手段も消毒である。
したがつて消毒には完全,不完全の兩端の中に程度がある。完全に消毒するを理想とするが,たとえ不完全であつてもやらないのには優る。世には完全を望むのあまり,それができないから打ち棄て置くとの投げやりは,公衆衞生學上の大なる怠慢である。
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