特集 公衆衞生に必要な新藥の知識
消毒剤
八田 貞義
1,2
1国立衛生試驗所
2日本醫科大學
pp.33-40
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201399
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公衆衛生上の消毒は研究室内作業の滅菌と同程度を目標とする。したがつて煮沸消毒ならば十分長時間沸騰点に保つ,ガーゼ・繃帯などは高圧蒸気法による。薬液消毒も十分その濃度と作用(浸漬)時間と温度とを大きくするように心がけねばならない。硝子器具(注射器など)は乾熱滅菌するがよい。消毒にはまつたき知識と誤りない操作とが要求され,決していゝ加減のものであつてはならない。ワクチン,血清をはじめ,一切の予防用,治療用,診断用の製剤を皮下,静脉内,皮内,筋肉内などに注射するに際し,従来この国の医家はあまりにも手軽に不注意に病原菌の迷入に対する防禦法を軽視してはいないか。注射部位の発赤・疼痛なども,その製剤本来の避くことのできない反応と視るものもあろうが,消毒の不完全などにもとずく医師の怠慢過失によるものと反省すべきものなければ幸いである。
以下紙数の関係もあるので主に化単的消毒剤,それもそれらの生物学的意義特に消毒作用について述べ,化学的特性について述べる考えはない。それは別に人がある。われら生物学徒はそれを薬物化学者にお願いして少しも恥ではなかろう。
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