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「クロロフイール」について
pp.92
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201417
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脱臭剤,創傷治療剤,増血剤,抗アレルギー剤等の藥剤としてわ勿論のこと,化粧品,キヤラメル煙草,歯磨その他社交用品に迄加工使用されているクロロフイールは,果してどの程度の価値効用があるものであろうか。現在迄にもその抗菌力の無い事,脱臭作用の不明なる事を発表している学者もあるので,ここに医学的考察を加えつつその概略を述べたいと思うクロロフイール(葉縁素);Willstätterが葉緑素の化学構造を決定した,a型はC55H72N4O5Mg,b型はC55H70N4O5Mgの構造式を有している。しかしこれは殆んど藥効を有せず着色剤としてのみ用いられる。クロロフイール誘導体;Burgi(1930)がchlorophyllin Na塩を創傷治療に用い有効である事を発表した。このクロロフイリンも水に溶かすと不安定なため漸次改良されて,カリウム塩,銅塩,亞鉛塩等の誘導体が出現し臨牀への應用が目覚しくなりたのである。藥効;クロロフイールが構造上血色素に類似する事からBurgi(1916)は広範囲な動物實驗より抗貪血剤として著効のある事を発表した。以来多数の学者が追試し比較的効果のある事を認めている。
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