連載小説
三つの輪(第2回)
關口 修
pp.41-44
発行日 1953年5月15日
Published Date 1953/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907299
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(3)鐵の針
草深い道傍のくぼみに身を避けた途端,バスは治子の前を掠めて通り過ぎた。そのあとのひどい埃の中を急いで行くと,兄は松林の蔭でトランクに腰を下ろして待つていた。喫いさしのバツトを棄ててつと立ち上つたが,治子の冴えない顔色を見て察したらしく
(まあ休め。疲れたろう)
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