インタヴユー
保安隊のナース—吉田浪子さんをたずねて
地引 喜太郞
pp.30-31
発行日 1953年3月15日
Published Date 1953/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907261
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吉田さんにお會いするのは,ずいぶん久し振りのことであつた。懷しい思いが胸いつぱいに溢れていたが,それも東一にいらしつた頃の,白衣に包まれた,情味ゆたかな清潔感を漂せていた吉田さんの印象を懷しむ思いであつて,久里濱駐屯隊の殺風景な一室で,カーキ色の保安隊制服を身に纏い,キラキラした階級章を胸元に光らせ,吉田三正(舊少佐相當官)という肩書をぶらさげている吉田さんを眼の前にしたときには,別人ではないかと思つたほど私は異様な感じに衝たれたのである。服裝というものがこれほど人間の印象を變えるものか,お話をしていれば,吉田さんは依然としてあの頃の吉田さんだが,やはり何となくイカめしく感じられて仕方がなかつた。
11月25日に入隊をして,4週間の教育を受けている最中であつた。婦人保安官という身分であるけれども,現在(12月18日)ではまだ一介の看護婦學生にしか過ぎず,毎日6時起床,夕方の5時まで,みつしりと基礎教育を受けているのだそうである。現在ここには57名の看護婦學生がいるのであるけれども,この人達が,教育終了後は,看護幹部になつて後進の指導にあたるというわけである。
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