発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907248
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1年生の皆様,今日は榮ある戴帽の式を迎えられ本當におめでとうございます。秋空のどこ迄も澄み切つた午後の一時,さぞ皆様のお喜こびと御滿足は,いかばかりかと存じます。37名白衣に身を固め,ナイチンゲールの灯を頂いて段上に並ばれ,聖詞を口ずさまれました時には,神々しいと言いましようか,身の引きしまりを感じ目頭の熱くなり行くのを,どうする事も出來ませんでした。お一人お一人の瞳は輝きに燃え,自分の求め學んで來た道に帽子と共に,立派に仲間入りすることの出來た喜びを胸にたくして……。
何と意義深き今日なのでしよう。私も丁度1年前諸先生方の御指導に依り,看護の立派な標である帽子を日本の,否世界の看護婦の1人として,感激に滿ちて誓つた言葉,人類への奉仕,愛の精神,病む人へのよき杖として,再び精神のよみ返りを覺えたあの日,決して歸らぬ1日1日に真面目であれ,真剣であれと,又生涯を通しての職業であれ,そして生命であれと誓つたあの日。そして今日,式場で新たなる力の湧き出ずるのを覺えたのでした。來賓の皆様からもお祝のお辭を頂きました。1人の患者に接する前に如何に多くの知識と,技術が必要であるか,賓習に出て始めて判りました。美しいナース,したわれるナースはやはり廣い知識と,ゆたかな教養,そして健康な身體の持主となる事です。意義ある此の目が今日のみでない事を,誓い合いましよう。
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