発行日 1952年8月15日
Published Date 1952/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907115
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ニューヨーク
毎朝夕の食事をしたYの並びにあるカフテリヤでは又新しい經驗を致しました。ここは安くておいしい物を食べさせるのでよく人が入ります。時間が惡いと仲々席がみつからない程です。コーヒーやお茶の類,サンドウヰツチ等は人手を使わず一側にずらりと並んだ小窓つきの棚に準備されてあります。各々値段が戸の横に明記してあつて好きな種類のもののところにお金を入れてハンドルを廻せば小窓の戸が開いて自分で取出せるようになつているのです裏側に顔は見えませんが人がいて空いていた所へ又同じ種類のものを補給する仕組です。コーヒー等はカップをハンドルの下にきちんと置いて廻わさないとアツと云う間に一杯分外にこほれてしまいます。もう一度お金を入れないと決して機械は情實がありません。又10セント5セント25セント玉を間違つて入れてもだめで1人のお婆さんがお金を入れたのにこの戸は開かないとどなつていたのを氣の毒と思い乍らも機械の正直さを眺めたことがありました。「末廣」と云う日本の食堂でお書親子丼と味噌汁を日本式に食べた時はやはり落ついた氣持で一息つけた感じでした。
ニューヨークでの奇遇の一つは終戰後比島の收容所でお世話になつたDR.K.におめにかかつたことです。當時收容所内の米軍の軍醫少佐で外科部長をしておられた彼はドイツ系の米人で皆からそのやさしさを慕われていました。
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