連載 A子とともに(コント)・4
久太の話
關口 修
pp.66-67
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907041
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この頃長屋の人達は,日が暮れるといい御機嫌で千鳥足をして歸つてくる久太の姿が見られなくなつた。久太が酒をやめたからである。
今まで人がいくらすすめても,(酒が女房でしてね)と云つて,久太が後添えを貰わなかつたのは,一粒種の7つになる和子が可愛いいからであつた。その和子が頬の手術をしてから,あれ程好きだつた酒をピタリとやめてしまつた。いや久太にしてみれば,飲む氣がしなくなつたという方が本當かも知れない。
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