附録 最新の醫學の進歩
内科,他
渡邊 良孝
1
1東大美甘内科
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907042
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ストレプトマイシン,クロロマイセチン,オーレオマイシン:ペニシリンが1929年Flemingによつて發見され,10年たつてからその基礎及び臨床應用の研究が完成され一般に普及すると間もなく,1943年Waksmannによつてストレプトマイシンが世におくり出されて更にヂヒドロストレプトマイシンに改良せられ,更にWaksmann自身によつてネナマイシンがつづいて世に發表される。別に又Ehrlich等はクロロマイセチンを分離,生成し,Ouggar等によつてオーレオマイシンが抽出される。此の外テラマイシンも又有效な抗生物質として分離され,現在既に種々の疾患に使用されているが未だ此等の抗生物質の臨床應用の研究は完成されたとはいえない。ペニシリンの登場は,多くの感染疾患に對し大きな役割を果して來ていることは周知の通りであるが主として腹膜炎(髄膜炎菌による)淋病等には有效でも結核,腸チフス,赤痢,發疹チフスには無效である。そこで上述の一連の抗生物質が次々と土壤中にあるカビから新しく撰び出されて,その人體に害が少なくて且つ細菌感染に對する藥剤としてとり出される。ストレプトマイシンは結核に對して特效があるとして有名であり,クロロマイセチンはリケッチアによる感染即ち今迄治療法のなかつた發疹チフス,腸チフス,赤痢等に有效であり,オーレオマイシンはビールスによる感染にも有效な事が證明され,眼科方面ではトラコーマの治療に用いて著效が認められている。
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