発行日 1952年3月15日
Published Date 1952/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907015
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病人の健康管理というと矛盾した感じを受けるかも知れないけれども,精神病院に於ては患者の健康管理が特に必要であることを痛感する。最近の精神病院の治療成績は新しい治療法によつて治療率が上昇して病床の廻轉率も極めて好調を示して居るが,中には慢性の經過をたどつて旋設内で長期に亘つて療養生活を續けなければならぬものが過半數を占めるのである。これ等の慢性の缺陥状態にある患者は,身體的には殆んど健康なものが多いのであるから,集團として病院生活を續けて居る問は患者の健康保持が必要となり,病院管理の面からも重要な問題である。尚精神病患者は精神の荒廢と共に日常の生活が非衞生的に流れ勝ちなものであるから,その點から見ても健康管理が必要ともなる譯である。かかる非衞生的な生活に陥り易い患者の多數に,醫療保護を行つている病院が,もし患者に對する健康管理に無關心であつたら結核患者は續發する。夏期には傳染病が侵入する。患者は蒼白な表情で室内にごろごろする等,實に悲慘な暗黑なものとなつてしまうのである。過去の精神病患者の死亡統計の死因を調べて見ると衰弱,肺結核,腸疾患其他のものが多かつたのも,健康管理が不充分であつたものと想像される。
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