発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906868
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人間がいざ慢性の病氣になると,その治療の目的のために,醫師の處方に基いた療養生活の規格内に置かれて療養を續けなければならない。殊に病院に入院して治療を受けるとなると,一層その療養生活が一定の樣式化されたものとなる。そうすることによつて病氣の治療が醫師の處方通りに行われ,所期の治療效果が得られるのである。しかし人間はとかくある樣式にはめこまれると,束縛感を抱いて何んとか少しでもその絆からぬけ出そうとする我儘があるものである。もし醫師の處方に反して,患者が勝手氣儘を振舞う場合はかえつて病氣の恢復を阻止し時には病氣がますます悪化することのあるのは日常經驗するところである。人間にありがちなこの我儘を少しでも矯正して,醫師の處方にあてはめて患者の療養生活を指導していくのは,何時も患者の傍にいる看護者でなければならない。それ故に看護者は醫師の命令に從い患者の生活指導を充分に理解し愛と熱意をもつて擔當しなければならない。
生活指導者たる看護婦者は,病人のよき理解と深い愛情と強い忍耐と正しい智識經驗とが備わつていなければ,看護者の一擧手一投足が病人はもとより病院全體への影響が大きいものである。就中毎日病人の傍にいる看護者との間の人格的接觸を通じての影響は,實に重大であることを認識しなければならぬ。
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