名詩鑑賞
KODAK—春山行夫
長谷川 泉
pp.54-55
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906897
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春山行夫の名前が今日多くの人たちの間にポピユラーであるのは,おそらくNHKのマイクを通してであろう。NHKの當り番組「話の泉」の常連メンバーとして,彼は堀内敬三,渡邊紳一郞などとはまた異つた持ち味の百科辭典的存在ぶりを發揮している。
だが,春山行夫が詩壇に殘した業績は,昭和の初期において歐米やアメリカなどの文學の新風をいち早くキヤツチして日本に紹介輸入した點にある。彼は編集者としてもすぐれたセンスを持ち「詩と詩論」「セルパン」及び終戰後における「雄鷄通信」の編集に當り,春山獨自の編集感覺をどの誌面の一頁にも感じさせるものを殘している。そのようなすぐれた編集者の感覺が,彼をして昭和の初期の文學の新傾向の紹介者の地位をたもたせたといえる。
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