発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906817
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分裂病というのは非常に多い精神病である。精神薄弱(低能)とか,精神病質(病的性格(とかいうような,病氣というより,生れつきの精神缺陷というべきものを除いて,病氣と考えられる精神病の1/3から半分近くが分裂病である。しかもこの病氣の半分位は癒りにゝくて色々の缺陷を殘したまゝ固まつてしまうので,精神病院では入院患者の60%位迄が分裂病で占められるのが常である。この病氣は以前は早發性痴呆といわれた。多くは20歳前後から發病し,何年かの經過の後に救い難い痴呆の状態におちいるものとしてこの名がつけられたのであるが,必ずしもすべてがなおりにくいものでなく,又痴呆ということが,發病のはじめから主たる症状でないという所から,精神分裂病,(Schizophrenie シゾフレニー,英語ではスキゾフレニア)といわれるようになつた。考え方感じ方の内容に統一がなくなり,まとまりが惡くなるという所に主な症状があるとしてつけられた名であるが,實際に現れる病氣の症状經過は實に樣々で,中々簡單には説明しにくいものである。
大体にいうならば,突然に急性にはじまつてくる時は,患者は甚しく不安,恐怖的で,何事か恐ろしいことが始まる。例えば世界の終りが來た。原子爆彈が落ちるといつたような感じをもち,時にはそれを救う力,使命が自分にあると感じて,高揚した悲壯な氣分に滿され,反抗的,落ちつきなく亂暴であったりする。
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