発行日 1951年1月15日
Published Date 1951/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906785
- 有料閲覧
- 文献概要
急性傳染病病棟に於いて
よくいろいろな方から模範的な傳染病院を見學したいけど,どこがよいか教えてほしいといわれて困つこたとが度々ある。何故私が困つたかというと,こゝこそ傳染病院として是非見ておいて頂きたい病院だといつて紹介出來る病院が今のところないからなのである。その反對の事柄はよく耳にし目にし,今の傳染病院と稱する病院は文字通り,他に病氣を傳染させている場所ではないかしらんと疑いたくなる樣な感じを持つ。例えば面會人が患者のベツドの側でものを食べていたとか,腸チブス患者,ジフテリ,猩紅熱患者などを取扱う看護婦が一つの豫防衣でアチコチしているなどとホジクリ出したらキリのない樣な危險なことが平氣で行われている現状らしい。
この樣な病棟に働く看護婦にとつて最も大切なことは,急性傳染病に對する徹底した知識と共に,統一ある正確な隔離技術を身につけているということである。統一ある……正確な……というこの2つのことが2つともに守られていなければ,いくらそこに隔離技術らしいものがあつたとしてもそれは只見せかけだけのもの,氣やすめのものに過ぎす,その病院の看護は不充分でなつていないという一言に盡きる。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.