——
蛋白質
吉川 春壽
1
1東大
pp.26-29
発行日 1950年11月15日
Published Date 1950/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906745
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私達の身體の約3分の2は水である。殘りの3分の1の大部分を占めているのは,之から話そうという蛋白質である。人間にかぎらず,およそ生きとし生けるものは水を含んでいることと,蛋白質を持つていることがその特徴である。ごく簡單な微生物のバクテリアにいたるまで,細胞の大切な構成分はこの蛋白質である。こういう意味からオランダの學者ムルダーはギリシア語の“第一のもの”という意味をあらわすことばからとつてプロテインという名稱をつけたのであつた。蛋白質という日本語は蛋はたまごで,その白味の質という意味からである。たまごの白味をつくつている物質が蛋白質の代表的なものだからである。
蛋白質は炭素,水素,酸素,窒素及び少量の硫黄を含んでいる。窒素を含むのが特徴でその分量は大體同じ位で蛋白質の中約16%存在する。蛋白質は複雜な化合物で鹽酸とか硫酸とかを加えた水と一緒に加壓釜の中で熱すると多くの種類のアミノ酸となる。つまり,蛋白質はいろいろの種類のアミノ酸が澤山化合して出來た物質で,これを上にのべたような方法で加水分解するとアミノ酸になるのである。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.