発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906637
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麻疹は急性傳染病の一種で,小兒に最も多い傳染病の一つであるが,病原體はまだ不明で,濾過性病原の一種であるといわれている。
この病原體は麻疹患者の血液中,口腔,鼻腔,咽頭等の粘膜中にあり,極めて發散しやすいが,抵抗力は弱る人體外ではすみやかに死滅するので,第三者又は器物を介して傅染することは稀である。傳染力は發疹の出る頃が最も盛んであるが,下熱後10日以上たてば殆んど傳染のおそれはない。
2歳〜5歳位の乳兒が最も多く罹患し,生後6カ月頃迄の乳兒はあまり罹らない。これは胎兒中胎盤を介して母體より麻疹免疫抗體を貰いうけてきており,これがため生後一定期間は麻疹に對し免疫性をもっていろからである。又麻疹に一度罹患すれば一生免疫を得て再び感染することは殆んどないので,大人に罹患者の少ないのはそのためである。
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