発行日 1949年3月15日
Published Date 1949/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906444
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(1)緒言
私達が助産婦學なり,産科學なりを學ぶに當つて,最も難解な個所は分娩機序の1項であらうと思ふ。而して,吾國の助産婦學を繙いてみると,本項目は唯,分娩機序の事實の記述にとゞまるため,助産婦は本機序を唯暗記するに過ぎず,一方産科學教科書の多くは難解な純物理一數學的に説明している爲め,多忙な醫學生はそれの理解に到達する暇なく,結局暗記主義的となり,分娩現象の確固とした理解なくして卒業する者もあらう。
扨て,分娩機序の理論に就ては,Baudelocque,Smellie,Naegeli,Sellheim等の諸學者が詳細な研究をなし,未だ一致した説がないが,現今Sellheimの純數學的法則を支持する者が多い。然し助産婦,醫學生等の初心者は難解な此の法則に依つて理解する前に,既に古くより稱へられている所謂「形態一致の法則」に依て先ず,正常分娩である所の前方後頂位の分娩機序を理解する事が望ましい。
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