発行日 1948年10月15日
Published Date 1948/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906381
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この頃,本誌の時評欄に掲げられた梅田博氏(讀賣新聞論説委員)の論議に關して一言したい。それは日赤女子専門の今度の事件についての批判であるから,私が日赤本社の關係者の一人として且つ現在の同校長としての一方的な弁解のようにも見えるであろうが,こゝにはそう云つたことを離れて,冷靜に事件の實相を觀察している一人としての所見を述べて見たい。
梅田氏は敬虔な批判家の態度として「わたしはこの事件の眞相を知らない,從つて無責任な批判を試みようとするものではない」と冒頭に述べられ,「生徒の不埒な行動に一切不干渉主義をとるべきではあるまい」と言つて居られるのは,私としてもまことに同感である。がしかし,民の後半の鋭い批判の根據になつている事實の把握については,遺憾ながらあまりに一方的な觀察による事實にしか止まつていない點が多い。私も實は昔の病院の附屬養成所時代のことは殆んど知らないし,終戰直後の女子専門の状況も關知していない。しかし少くとも,あの事件を中心とした前後の學園や寮生活については冷靜に觀察するの機會をもつていた。
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