発行日 1949年6月15日
Published Date 1949/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906476
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科學的態度
今や新しい時代の生活には,科學的な態度を完成しなくてはならぬ。新しい時代の健康法は,もちろん科學的合理な方法に基礎をおかねばならぬ。人體の生理や衞生は科學的な方法によつて,幾多の基本的な事實や應用方法によつて拓かれた。そして今日の醫學の發達には,すべての科學的方法による努力の歴史が織りこまれている。例えば,實驗室に働く病理學者は,細胞の一片を研究して,いろいろな事實の眞相を報告し,それがまた他の研究者や觀察者によつて繰りかえされ,微細な現象や事實でも輕視されることがない。幾度も嚴正な批判に訴えられ,是正され,そして是認されるのである。
今日われわれが,何事もなく學び得る1箇の細胞に關する知識,例えば細胞は核を中心に藏している1箇の原形質であると云つたような簡單な知識にしても,實に多くの研究者の不斷の努力と良心によつて築きあげられたものである。種痘が恐るべき痘瘡を免かれしめることも,腸チフス死菌の接種が腸チフスを豫防し得ることも,醫學者が一歩一歩と築きあげた貴い研究のたまものである。
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