看護學講座
外科看護學
湯本 きみ子
pp.41-44
発行日 1948年6月15日
Published Date 1948/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906340
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手術後合併症,消化器系
口渇
口渇は一般に全身麻醉の場合に起るのが多いが,局所麻醉の時でさえも口渇を訴えることもある。之は,手術前に注射されるアトロビン劑の影響にもよるが,體内水分缺乏も大に關係がある。手術中の發汗,粘液分泌が増し,又血液を失つた事などが,水分を失う結果となる。此の水分の補給には手術後2-3時間以内に,大量水分を注射,皮下注射,靜脈内注射に依つて與える。斯くして,水分を十分補給しても尚,口渇が輕減しないこともある。患者の口腔は乾いて。ネバネバして居るから水分を求ある。
手術後嘔氣嘔吐がなくなると,水分(流動物)を口から與える。即ち、お茶又はレモン水を少しづゝ飮ませる,粘液を解かすためには冷い飮料よりも,温い物の方がよい。氷水は決して用いない。それよりも小さい氷片を口に含ませる方がよい。それが自然に解けて生ずる水の量は極少くして口を潤す到度のものであるから,水を飮むことを禁じられ居る樣な状態の場合でも大抵差支ない。
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