特集 痴呆のスケール—きめこまかなケアのための客観的評価尺度
スケールを用いた経時的ケアの見直し
六角 僚子
1
1常磐大学大学院博士後期課程
pp.1127-1132
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906066
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痴呆高齢者ケアの拠り所
痴呆性高齢者と接していく際には,痴呆の医学的診断,痴呆症からくる行動・日常生活動作への影響,認知レベルなど正確で慎重なアセスメントがまず求められる.さらに,その人の生活習慣や生活歴,社会的背景,価値観など多角的な情報収集を行ないながら,ケアの目標を設定していく必要がある.しかし,多くの場合,対象者は痴呆以外の他の身体的疾患も持ち合わていることから,痴呆の症状や身体状況の観察を混乱させられていることも少なくない.それゆえに,なおさら正確で慎重なアセスメントが要請される.そして,アセスメントに基づいたケアプランをチームスタッフが共通に理解し,専門的にケア実践すること,さらには定期的なケアの効果判定やケアの見直しをチームで行ない,次のケアにつなげていくことが重要である.この一連の過程が,痴呆性高齢者のQOLの向上を目指すトータルケアであると考える.その際の重要な拠り所となるのが種々のアセスメントスケールである.
以下では,老人保健施設へ新規入所となった1人の痴呆性高齢者を対象として,筆者が作成した試行的な評価シートを用いながら,継続的にケアの見直しを行なった経過を紹介する.
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