病院進化論・2
巨大化とスケールメリット
古川 俊之
1,2
1国立大阪病院
2東京大学
pp.565-568
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901831
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なぜ病院は巨大化するか.それは進化の方向性の表現形でもある,というなら進化論の鵜呑に過ぎない.病院巨大化の最大の要因は,医療界が予想もしなかった医療技術の急速な進歩で,何とか新しい装備を取り込んで需要に応えるためである.
奇妙なたとえかも知れないが,水中生活を選んだ恐竜には,その場凌ぎの適応で間に合わせた種属とそうでないものとがある.海棲恐竜のノトザウルスは,陸上恐竜の体型のまま尾に鰭を付け,四肢の指にミズカキまで付けたが推進力は弱く,餌を見つけて顎を開けると,水中抵抗が増して困惑したに違いない.デザインの優れたミクソザウルスは,尾鰭が垂直である以外は,現代のイルカとほとんど同じ優れた体型である.
病院の進化も巨大化だけでなく,不細工な醜い図体になったものと,新しい設計思想で臨んだものとの差は歴然としている.まず巨大化の必然性を考察して,スケールメリットの如何を考えたい.
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