特集 —生ある限りいきいきと—腹臥位療法のすすめ
低ADL(高齢)患者に対する腹臥位療法のすすめ—QOL重視の全人間的アプローチ
第3章 腹臥位療法の臨床評価法
pp.1024-1029
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
微細な変化をとらえる判定基準
本誌1998年7月号に掲載されて以来,「どのような形で経過をフォローし評価するのですか?」という質問の手紙が各地から寄せられ,この療法に臨床現場で取り組み出された状況が実感された.Evidence-based medicineが医療界で常識となりつつある今日,熱心なナースの方々の真摯な取り組みにより得られた臨床的好結果が〈君たちの自己満足〉とドクターに言い切られないためにも,より客観性と恒常性のある評価表の必要性を感じた.
このため,ADL評価表を探したが〈寝たきり患者〉のように自立度の非常に低い患者に対する微細なADL変化や精神機能の向上を評価しうる,既存のスケールは存在しなかった.ADL評価法ではBarthel Index(1965年発表)とFunctional Independence Measure(FIM)が広く国際的にも有名で学会でもよく使われている.しかしながら,わが国の〈寝たきり老人〉のADL変化を微細に捉えるには,これらの評価法(たとえば,B. I. では0:全介助,5:部分介助,10:自立の3段階のみ)では表現できない〈グレイ・ゾーン〉が0から5あるいは5から10までの間に存在し,〈腹臥位療法〉の効果を判定するにはこの細分化した1段階ごとの定義が必要であると痛感した.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.