特集 食と栄養の可能性を探る
終末期患者の食の援助を考える
桜井 理華
1
,
村上 真由美
1
,
田村 緑
1
,
佐々木 雅彦
1
,
本間 美恵子
1
1東札幌病院
pp.32-35
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905747
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はじめに
「食べる」ということは,私たち人間にとって生命の維持という根源的な意味と,味わう楽しみであったり,他者との良好なコミュニケーションを形成する手だてであったりする.また,人間の基本的欲求である「食」の欲求を満たすことで,人としてのさまざまな活動ができる.がん腫の腹膜転移等によるがん性腹膜炎は,消化管の通過障害を引き起こし,嘔気・嘔吐・腹部膨満感などの症状が病状の進行とともに増強し「食べる」ことを困難にさせる.さらに,疼痛や倦怠感等の不快症状も重なり,看護していくうえでは課題が多い.
今回私たちは,胃がん・がん性腹膜炎により「食べたいのに食べられない」状況の患者への看護を経験した.この事例の看護過科を振り返り,終末期がん患者の「食べる」ことへの援助を考えてみたい.
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