特集 食と栄養の可能性を探る
意識障害患者の嚥下障害へのアプローチ
水沢 弘代
1
,
江口 隆子
1
,
中川 郁子
1
1札幌麻生脳神経外科病院
pp.27-31
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905746
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はじめに
私たちは,看護を「人間が本来もっている健康回復への力が最大限発揮されるように患者の身体機能や生活環境を整え,その人らしく生活ができるように支援することである」と位置づけている.脳神経外科領域ではその疾患の特性上,患者はいくつもの障害を合わせ持つことが多いが,その障害のなかでも「その人らしい生活の自立」を最も困難にしているものに意識障害がある.
意識障害患者には嚥下障害ばかりではなく,認知・統合機能の障害もあり,摂食・嚥下の確立をより困難にさせることになる.そのため,看護職には意識障害の査定や嚥下障害の査定,また嚥下訓練を安全に取り組むための判断および援助のための確実な技術の習得が求められてくる.そこで私たちは,看護職の役割として患者の生活を整えるという視点から,患者に「食事」という日常生活行動を反復させることが,さまざまな感覚や運動刺激を通して脳神経の特徴である学習性,可塑性,代償性を効果的に引き出し,意識障害を改善するための有効な刺激になり得ると考え,積極的に摂食・嚥下のアプローチを行なっている.今回,意識障害患者の摂食・嚥下への取り組みの実際を通して,患者の健康回復への可能性を探ってみたい.
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