日本老年看護学会第10回学術集会特集 シンポジウム
高齢者の入退院・入退所に関する課題
佐瀬 真粧美
1
1千葉市立青葉病院
pp.15-19
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
- 販売していません
- 文献概要
- 参考文献
はじめに
高齢社会となり,入院患者の中にも多くのさまざまな高齢者をみかけるようになってきた今,一般病院,急性期病院だからこそ,高齢者ケアに対する姿勢がとても重要であると日々感じている.高齢者ケアに対する姿勢といえば,その人の尊厳をいかに支えるかであるが,その尊厳を支えていく時に欠かすことのできないはずのその人の意思や思いは,急性期の医療の中で果たして尊重されているのだろうか.治療に伴う何らかの決定が必要になった時,そのプロセスに高齢者は関与できているのか疑問に感じることがある.
現在私は地域連携室という部署で相談業務に関わっている.入院すると治療に関する多くの決定場面があるが,今回は相談業務の中でも特に多い退院相談の中で関わったり見聞きしてきた体験を通して,高齢者の入退院,入退所に関する課題について述べさせていただこうと思う.一病院での体験ではあるが,これは当院だけの課題ではないと思っている.そんなこと看護の基本,あたりまえと言われる方もあるかもしれない.しかし,それとは異なる現状があることも事実である.今後,急性期の治療が必要となった高齢者をケアしていくうえで,そのケアを担う看護職は,どのような姿勢で高齢者と向き合っていかなければならないのか,あらためて現状を振り返り,どのような課題があるのか,考え実践していくための一資料としていただければと思う.
Copyright © 2006, Japan Academy of Gerontological Nursing All rights reserved.