連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・15
人間として看護婦として—たたかい
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.272-275
発行日 1998年3月1日
Published Date 1998/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905552
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涙のスクラム
「夜勤に疲れたこの足にみんなで言い聞かそう.夜明けが来る.人並みの暮らし幸せ求めて」.
10月の澄み切った空に向かって,信子も恵子も英子も清美も涙でぐしょぐしょになって声を張り上げて唱っていた.徹夜のもうろうとした頭も冴えすぎるほど冴えて.病院の門前で初めて組んだスクラム.組合旗が屋上の赤十字の旗と並んで翻っていた.前日までの組合の宣伝が届かず,うっかり来院した患者に対しては,受診を拒まないゆるやかなこの日のピケであったから,笊抜けストとも呼ばれた.
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