特集 赤痢(Ⅱ)
随想
赤痢とたたかう思い出ばなし
衣川 純三
1
1山口県衞生部
pp.60-61
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201446
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赤痢防疫の思い出として埼玉県と徳島県の巻をとりあげてみよう。
先ず埼玉県の巻と云うのは昭和22年だつたと思うが,9月13日来,本土に襲来したカザリン台風にともなう,豪雨のため関東一帯の河川は大増水となり,ついに利根川は15日夜茨城県中川村附近で,16日埼玉県栗橋附近で決壊,関東地方は明治41年来の利根川大決壊以来の大水害を招いた時のことである。厚生省では直ちに水害対策本部を設け,緊急会議が終日催されたが,私は当日予防局防疫課勤務であつたので防疫班を編成し,茨城県方面に出動するよう命ぜられた。防疫藥品を主として,救急資材を自動車に積載して県庁所在地である水戸市に急行したのだが,目的地に到着したのは夜相当更けた時だつた。
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