特集 看護系大学のいま
大学における思考能力のトレーニング—気づき,判断し,創る看護のために
黒田 裕子
1
1日本赤十字看護大学
pp.19-25
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905501
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はじめに
4年制の看護系大学が急増しつつある現在,看護専門学校や短期大学のカリキュラムと何が異なるのかという抜本的な課題が我々教育者に投げかけられている.4年制大学の卒業生は看護専門職の質的な向上に向けた高い役割期待が確かにある.そういう学生の教育にあって何が大切なのかをあらためて考える時,あるべき論,ねばならない式の乏しい教授では学生の思考は育まれていかないだろうし,大学教育である所以も意味もない.
看護学は病んだ人々のケア実践を科学的に追究する領域である.いまだ確立されたパラダイムを持たないだろう看護学は未知の無限の可能性を秘めているとも言える.このような背景で学ぶ学生には自らが主体的に自由に考え発想し,自分たちで創り出し,そして生み出していくのだと思える学びができるような場が与えられる必要がある.4年制大学はその場を与えることのできる多彩な教授陣とそれに応えられる潜在能力を持つ学生がいるのではないだろうか.
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