特集 臨床で“生活をみる”ということ
急性期の脳外科領域における生活を視点においた患者および家族への看護支援
品地 智子
1
,
能條 多恵子
2
,
江口 隆子
2
,
東谷 吏
1
1札幌麻生脳神経外科病院急性期病棟
2札幌麻生脳神経外科病院看護部
pp.836-840
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905423
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はじめに
急性期の脳外科領域における疾患は,クモ膜下出血,脳出血,脳梗塞,交通外傷など,突然の発症を伴いやすく,患者も家族も生活の劇的変化を余儀なくされることが多い.このような中で看護者は,救命救急に目がいきやすく,「医の代行行為」や「診療の補助行為」を行なうことが,看護の役割のすべてであると思い込み,患者の生態管理に終始してしまいがちである.
しかし,患者は突然の疾病による苦痛と,自分の力で生きる営みができなくなったことへの不安,恐怖,苦痛,さらに残された家族に対する心配など,はかり知れない程の生活上の苦しみをかかえながら療養生活を継続していかなければならない状況に置かれているのである.一方,家族は,突然訪れた事態にどう対応すればよいのか,また,生活の安定をどう図ればよいのか,極度の不安の中でポーッとして判断も決断もできない状況になっていたり,ときには,どこに向けて良いのか分からない不安を「怒り」として医療折にぶつけてきたりするしかない状況に置かれているのである.
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