特集 脳卒中理学療法のシームレス化にむけて
脳卒中生活期理学療法で活かす急性期の視点
関谷 俊一
1
,
大塚 功
2
Shunichi Sekiya
1
1社会医療法人財団慈泉会相澤病院脳卒中リハ部門
2社会医療法人財団慈泉会相澤病院リハセラピスト部門
pp.503-507
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106312
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国における脳卒中患者は年間1,339,000人にのぼり,受療率(人口10万人あたり)は250人で,悪性新生物の233人を凌ぎ1位であり,かつ総数に対する入院患者の割合は,62.4%(悪性新生物は47.6%)と最も高い1).さらに,介護の現場においても,脳卒中が要介護となった主な原因疾患の21.5%(第1位)を占める2)ことからも,社会の急激な高齢化を背景に,急性期から生活期に至るまで,脳卒中患者に対する理学療法士の継続的なかかわりがさらに増すものと思われる.
脳卒中の急性期理学療法を提供する立場として,昨今の理学療法対象患者は,高齢で元々の生活自立度が低い要介護者が多いように感じる.また,再発患者も多いことから,再発予防を目的とした患者教育と介護予防の重要性も高まっている.当院では,脳卒中急性期からリスク管理下での早期離床を積極的に実施することで,二次的合併症と廃用症候群の予防に取り組み,回復期以降への効果的な運動機能改善につなげている.
生活期における理学療法士のかかわりは,軽症例には再発予防,中等度症例には転倒予防および介護予防,重症例には廃用症候群や寝たきりの予防など潜在的なリスクを管理しつつ予防理学療法の提供を基盤としている.加えて機能改善の視点に立った継続的なかかわりが求められる.そこで本稿では,急性期理学療法を行う立場から,脳卒中患者を重症度別に分けて,生活期におけるそれぞれのリスク管理について述べていきたい.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.