特別記事
なぜ「抑制」をするのか—問われる看護者の原点
田中 とも江
1
1上川病院
pp.141-148
発行日 1997年2月1日
Published Date 1997/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905274
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看護者が患者を縛る,いわゆる抑制という行為は,本当に減っているのだろうか.平成5年,私たちの病院に入院していた患者で,以前にいた医療機関でなんらかの理由により抑制を受けていた患者は48人中16人であった.それが,最近調べると,縛られていた患者は合計18名で逆に2名増えていた.こんな小さな例だけで世の中全体をうんぬんすることはできないかもしれない.しかし,私の実感としては抑制の問題は廃止という方向に向かって改善されているようにはあまり感じられない.QOLが日常用語として使われ,医療機関はサービス業とまでいわれている現在ではあるが,この結果からみるかぎり,抑制の問題はまるで別の世界のことのようである.
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