研究と報告
交流分析を活用することにより,患者と看護婦の関係改善がなされた躁病の1例
古川 清美
1
,
寺尾 岳
2
,
河原 照子
1
1産業医科大学神経精神科病棟
2産業医科大学精神医学教室
pp.1148-1150
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905243
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はじめに
躁病患者の看護においては,看護婦が患者の攻撃性や易怒性に反応せず,十分な心理的距離を取ることが重要と考えられる.しかしながら,あまりに距離を取りすぎてもラポールが成立せず,良好な信頼関係は成立しない.躁病患者との適切な心理的距離を取る方法に関して,具体的な示唆を与える報告は少ない.
ところで,交流パターン分析1)は交流分析の1つであり,自我状態を親(parent,以下Pと略す),大人(adult,以下A),子ども(child,以下C)の3つの領域に分けたうえで,これらの領域が対人状況でどのように交流するかを分析するものである.最近,筆者らはこの交流パターン分析を活用することにより,良好な関係が得られた躁病の症例を経験したので,若干の考察を加え報告する.
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