Japanese
English
研究と報告
単極性躁病の3例—その発病状況について
Drei Fälle von monopolar manischer Psychose: Zu den Situationsgefugen bei derer Provokation
植木 啓文
1
,
曽根 啓一
1
,
高橋 隆夫
1
,
武田 憲明
1
,
竹内 巧治
1
Hirofumi Ueki
1
,
Keiichi Sone
1
,
Takao Takahashi
1
,
Noriaki Takeda
1
,
Koji Takeuchi
1
1岐阜大学医学部神経精神医学教室
1Aus der Neuropsychiatrischen Abteilung der Gifu-Universität
キーワード:
Provocated manic psychosis
,
Premorbid character
,
Premorbid situation
,
Life-events'study
Keyword:
Provocated manic psychosis
,
Premorbid character
,
Premorbid situation
,
Life-events'study
pp.265-271
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203730
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抄録 単極性躁病はその数が少ないためか,精神病理学的研究の対象にほとんどなっていない。本論文では,単極性でかつ頻回に反復した比較的めずらしい躁病の3例について,その発病状況,病前性格を精神病理学的に考察した。
「気分基調が高く,理想が高く,ややもすれば現実遊離の理想燥を揚げて,そこへ己を駆り立ててゆく」という性格特徴により,彼らの基本的在り方はすでに病理性を,つまり慢性葛藤ないし緊張状態を内に有していた。その上に負荷状況を自ら作り出すことにより躁病が誘発されていく。その際,彼らには,対人,対社会よりも,対物質世界が優位に立っているようにみえるが,しかし結果的には,彼らは対物質世界を通してどこまでも対人,対社会的に優位に立とうとしているようであった。
こうした研究の集積は,これまで十分であるとはいえず,躁病の病前性格論,病因論,類型論,さらに治療論に資する所が大きいと思われた。
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