特別記事
共に学びあえる国オーストラリアの保健医療サービス
西村 淳
1
1メルボルン日本国総領事館
pp.1116-1119
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905234
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最近,日本でオーストラリアの保健医療・福祉サービスが注目を浴びている.現地で見ていても,日本から多くの看護婦,自治体関係者,医師,福祉現場のサービススタッフ,研究者などが研修に訪れている.特に看護婦の方々の研究熱心が目立ち,今秋(オーストラリアでは今春)の研修シーズンにも多くの看護婦の方がオーストラリアでの研修を行なっている.専門的な分野で日豪の交流が深まる貴重な機会であり,たいへん喜ばしいことである.オーストラリアの明るさと豊かさのイメージ,対日感情の良さ,欧米の視察が一段落し残された英語圏先進国である豪州に注目が移ってきたこと,などの理由もあるが,最近オーストラリアが注目されている大きな理由は,日本が豪州から学ぶ,あるいはともに学び合うことのできる多くの点が認識されるようになってきたからだと思われる.
鮮明な問題意識をもって研修にみえる方も多いが,せっかく訪豪しても問題意識を持ちきれず,研修先とも十分なコミュニケーションを図れずに,漫然と日を過ごしてしまう残念な例もある.その理由の1つとして,日本では欧米の保健医療の制度紹介は多く行なわれているが,オーストラリアに関しては,視察体験記のようなもの以外に紹介がこれまであまりなされてきておらず,離日前に十分な準備を行なうことが難しいことがあげられよう.
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