特集 情報の開示・共有について考える
—看護計画の開示・共有の試み・2—患者の主体的参加を願って
江守 直美
1
1福井医科大学医学部附属病院看護部
pp.1084-1089
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905228
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はじめに
日本において医療者と患者の関係は医療者は「はたらきかける」,患者は「治療を受け医療者に協力する」側という傾向がまだ強い.患者が医療者に「おまかせする」では,今日の主要疾患である慢性疾患の治療に必要な自己管理は難しい.患者が効果的な治療に必要で適切なセルフケアをするためには,自分が受ける医療を納得し理解することが治療への自己責任感を高めることであり,医療従事者はそれを支援するための効果的な方法を工夫することが大切である.
患者が自分自身の健康上の問題を知覚しない,または知っていても問題解決のために主体的に行動しようとしない場合,患者のノンコンプライアンスが問題となる.つまり看護婦は患者のためにと計画を立てているが,看護婦の一方的な計画で空回りになり,患者の健康問題の解決に至らない場合がある.そこで患者が,実施する目標やケア内容を共に考え実行すること,看護実践を評価するところまで主体的に参加させることにより,自分の健康問題を知覚し,自分がやらなければならないことを理解して,自分がとるべき行動に気づき,患者は自己責任感が高まり,適切なセルフケアをするために行動の変容をきたすのではないかと考えた.
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