連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・32
Haightによる“構造的ライフレヴュー”
野村 豊子
1
1東京都老人総合研究所
pp.1026-1030
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905214
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はじめに
回想法は,Butlerの提唱1)以来34年を経て,多様な臨床実践および研究が蓄積されてきた2).近年,日本でも痴呆性高齢者への心理・社会的アプローチの1つとして普及され始めている.欧米の最近の研究の流れとして,回想法一般とライフレヴューの相違を明確にし,両者を別個に検討する論者も目立つ.今回紹介するHaight(サウスカロライナ医科大学看護学教授)もその代表的な論者である.筆者はすでに回想法の対象と方法を図1のマトリックスで示したが3),最近の欧米の研究や臨床の検討をふまえると,図2に示す枠組がより妥当ではないかと考えている4).
Haightの指示したライフレヴューは,Eriksonによる人生発達段階の老年期の課題である“自己統合”に向けて活用できる実践的方法であると把握されてきた.しかしながらButler自身は,その具体的な方法については特に示してはいない.Haightは,Eriksonのモデルを反映させて,Life Reviewand Experience Form(LREF)を用いる“構造的ライフレヴューモデル”を提唱する.
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