連載 私が老人看護に魅かれる理由・3
自らの老人観、看護観が生かせる場へ
山里 千栄子
1
1初富保健病院看護部
pp.664-667
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905132
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何が老人を遠慮させてしまうのか
2年間という短い期間ではあったが,老人保健施設での看護を通して考えさせられたことは,「老人が意思をもって,その人らしく心身ともに安楽な環境にいられるように,看護婦としてかかわっていくことの難しさ」だった.
加齢や疾病,障害によって日常生活のほとんどに他者の手を借りなければならない状況になったとき,住み慣れた場所,親しい人々のなかで暮らしていこうとすると,現在の日本社会のなかでは老人その人と家族にかかる負担が大きすぎるのではないか.それでも在宅を望むのは前回書いたように「医療や保健・福祉施設での生活が満足の得られない状況である」ことを物語っているのではないか.
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