連載 公的介護保険VS看護・6
公的介護保険が利用者と看護に与える影響
二木 立
1
1日本福祉大学
pp.634-639
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905125
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はじめに
公的介護保険「富士山」論
公的介護保険は富士山のようだ.これは,4月22日に発表された老人保健福祉審議会(以下,老健審)の公的介護保険制度に関する「最終報告」を読んで,ひらめいた(?)キャッチコピーである.その心は……遠くで眺めているとすばらしいが,近づくとアラばかりが目立つ.なお,この富士山への喩えの「出所」は,政界で聞かれる政権党のある有力政治家評である.
私は,公的介護保険の中身が明らかにされず「遠くで眺めてい」た本年1月までは,「公的介護保険一辺倒の議論に異議あり」と主張しつつも,それに対して絶対反対の立場は取らず,それの「改善提案」を行なっていた1,2.しかしその後,老健審「第二次(中間)報告」と「最終報告」によりそれの「アラばかりが目立つ」ようになってからは,「公的介護保険(そのもの)に異議あり」の態度表明を行なっている3,4.
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