クリニック・アイ
病める狼
木島 昻
1
1小児科
pp.96
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913294
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すっかりドロを吐くのは時間の問題:それにしても犯行当日から1週間,容疑者のくだんの男はまだあいまいな自供を並べたてている。
タイピスト・ガソリン焼殺事件である。先刻の深夜ニュースでは,被害者の死体解剖の結果,目を殴打されていること,首も絞めつけられていた事実が新しく判明した。その結果犯人はまず相手を強打し失神させたうえ,ガソリンを浴びせかけ焼殺したのだろうと推定され,男のアリバイや被害者の日記,車中の証拠品の捜査から,犯人の断定は自供一本にせばめられている。犯罪史上にも稀な残虐なケースに日本中の人びとが憤ぬし,娘や娘をもつ親たちはおそれおののいている。犯人は男の風上に置けぬどころの生やさしいたとえではすまされぬ,まさに断罪に値する奴である。
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