連載 あるべき自己を求めて—看護は自己創造の道・10
見えるものにとらわれずその背景に学ぶ
柳田 正臣
1
1柳田エンカウンター・ソサエティ
pp.984-987
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904918
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渡る世間に鬼はなし
最近の世相は,見出しにつけた「渡る世間に鬼はなし」のことわざを否定するような,オウム真理教による,戦慄の殺人事件が連続しました(真相の解明はいまだ進行中ではありますが).それは文字どおり悪魔の宗教で,地下鉄サリン事件などは東京のどまんなかで起こったことから,「人を見たら泥棒と思え」という対語が成立するような事件でした.日本の安全神話は崩れたといわれるゆえんです.
そのほか,不快極まる犯罪の多発は,人間不信を助長するような,悲観的な人生観に陥りかねない世相と言えなくもありません.実際のところ,カウンセリング活動を通じて対人不信を根強く持っている多くの人に出会います.これはしかしはなはだ不幸な現象であり,誤った人生観で,自他の健康な人間関係を損なうことは明らかです.
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