コーヒーブレイク
固定観念にとらわれない銚子電鉄とぬれ煎餅
関根 智紀
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1国保旭中央病院中央検査科超音波室
pp.973
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101857
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東京から東へ約100kmの本州最東端には全長6.4kmの銚子電鉄が走っている.出発するとすぐにお醤油工場からの匂いがして,やがて広いキャベツ畑を通り過ぎると今度は潮の香りとともに白亜の犬吠埼灯台が見えてくる.観光の入口は犬吠駅であり,ポルトガルをイメージした白壁と絵タイルをモチーフにしたおしゃれな駅に仕上がって“関東の駅百選”にも選ばれている.犬吠駅で電車を降りると構内売店に香ばしい醤油の香りがする.そこでは網のうえで一枚一枚煎餅を手焼きしている姿が見られる.鉄道と煎餅との組み合わせにいささか不思議さがあるが,何も事情を知らなければローカル私鉄に独特な,のどかな風情を感じるだろう.
実は,銚子電鉄は,鉄道事業の赤字を補うために「副業」として煎餅の販売をしていたのである.そして,この“ぬれ煎餅”こそが銚子電鉄の固定観念を変えて経営危機を救ったのである.1年ほど前になるが銚子電鉄のホームページに「緊急報告」が載っていた.
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