連載 看護ボヘミアン—出会いと発見のつれづれ・11
風立ちぬ—(後編)
林 千冬
1
1東京大学大学院医学系研究科博士課程
pp.772-773
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904619
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最後の「環境整備」
1986年2月末.私の看護婦国家試験の日が近づいていた.ひとまずアルバイトを休むことにしたものの,一番の心残りはやっぱり吉田さんのこと.すでにその頃,彼は自力歩行もままならないほどに衰弱してしまっていた.
その日,日勤の終わりに彼の病室を訪ねた私の目に飛び込んできたのは,激しい下痢が止まらず,付き添いさんにまさにオムツを当てられようとしている彼の姿だった.
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