特別記事
より日本的なターミナルケアを求めて—ビハーラケアとは
藤腹 明子
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.722-728
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904610
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はじめに
1970年代が日本におけるホスピスの構想期であり,1980年代を始動期であるとするならば,1990年代に入った現在,日本のホスピスは新たな展開期に臨んでいるといえるだろう.それは,1つにはホスピスやターミナルケアの実態を追及すればするほど,そこには医療・看護の領域のみでは解決できない諸問題が浮かび上がり,関連諸領域をも含むターミナルケアへの対応が求められてきていること.さらには,“より日本的なターミナルケア”のあり方が問われ始めているという点である.中でも,「宗教」や宗教と密接に関係する「文化」,「習俗習慣」に関する問題が,それぞれの国においてターミナルケアやその専門施設のあり方を左右し,方向づけていることを強く知らされる.
日本でのホスピスやターミナルケアのあり方を問う場合も,この「宗教」や「文化」などとのかかわりを無視しては,患者中心の施設,あるいはケアということは名のみのものとなりかねない.
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